行場を失った価値ある材木たち
Mill ends SeriesPICK UP

Mill ends Plate
木紋 Kimon
立山杉は、冬目(色の濃い木目)部分が極端に硬く、春目(色の白い木目)部分が軟らかく脆いという特異な特性を持っています。
富山県産材として最もポピュラーな木材でありながら、この特性ゆえに鉋削りなどの加工が難しく、建築化粧材としては扱いにくい材料です。また、杉の赤身と呼ばれる部分も、全国的なブランド杉と比べると発色等が劣り、木目は明瞭ですが、建築化粧材としての付加価値を高めるのが難しい材料と言えます。そのため、地元工務店の建築制作過程や林業の製材過程で行き場を失う木材の多くは、この杉材が占めているのです。
私は、この立山杉の特性に注目し、逆にこのデメリットをデザインに活かせないかと考えました。地元の素材でありながら業界で評価が低いからこそ、この木材には可能性があって面白いと感じたのです。また、建築制作時に発生する行き場を失った木材の活用方法は、私にとって長年の課題でもありました。この課題に向き合い、導き出した一つの答えが、県産材の木板断面の形をそのまま活かした木製タイルの制作でした。さらに、このタイルを用いてフレキシブルに使えて一人膳としても楽しめる木製プレートの制作にも発展しました。

立山杉の特性を最大限に活かすため、浮造り仕上げを施し、冬目と春目のコントラストを強調して、力強く美しい木目を引き出しました。また、木材の小口断面を用いたデザインにすることで、意匠性を高め、材料を無駄なく使用できるだけでなく、年輪から富山で刻まれた時の歴史と価値を感じられる作品に仕上げました。
化粧材だけでなく等外品の材料など、節や割れ、色の違いもすべてが個性として活かされ、規格的でありながらも、それぞれが唯一無二の立山杉の魅力を感じられるように工夫しながら制作しています。さらに、小口断面を採用することで、塗装による表現の幅も広がり、よりフレキシブルな用途に対応できると確信しています。
そして、地元の素材の魅力が伝わり、木材の無駄がなくなり、付加価値が加わり、好循環が生まれることを願っています。
品名の木紋(Kimon)は年輪の広がりに波紋のような自然の美しさを重ねたイメージを表現しています。木紋は日本古来の家紋にも(サンギ)という名前で存在し、杉もサンと読めることから木紋=杉紋という意味合いも含めています。
- <お取り扱いについて>
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- 洗う際は、中性洗剤を使って柔らかいスポンジを使用してください。(研磨剤入りのスポンジは使用できません)
- 洗い後は、乾いた布巾で拭き取って自然乾燥させてください。
- 食器洗浄機、乾燥機の使用はできません。
- 直火、電子レンジ、オーブン等の使用はできません。
- 直射日光、エアコンの風が直接当たる環境での保管は避けてください。
- 水につけたまま、あるいは水分のあるものを長時間放置しないでください。
- お湯程度は問題ありませんが、高温のものを直接置くと変形などの恐れがあります。
- 木の質感を損なわず、親水性を抑える木固めの仕上塗装を施してあります。
- 仕上塗装により、プレートを保護し、耐水性を高めています。
WORKS
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スタッキングできる組立型のスツール -
「光祈灯生」富山と石川の木を用いた復興祈願作品
花:廣瀨亞紀(petie rive) -
銘木の端材を活用したマルチプレート -
銘木の端材を活用したアートフレーム

澤井 峰春 Mineharu Sawai
- 技能士 / 建築士 / デザイナー
- クリエーター / テクノインストラクター
- 職業訓練指導員免許
- 魚津職業訓練校 指導員
- 富山県景観広告賞 受賞
- 2024年富山プロダクツ選定(木紋)
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澤井建築
富山県中新川郡立山町蔵本新274-2
Tel 076-462-2766
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